人間環境大学

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【心理学科コラム】アイドルの存在とわれわれのこころ

 2019年7月、これまで多くの男性アイドルグループを誕生させ、成功させてきた著名な芸能プロデューサーが他界されました。これを受けて、たくさんの人たちが、メディアを通して氏のご冥福をお祈りするとともに氏の功績を振り返り、あらためて感謝のことばを述べておられます。

 ところで、アイドルとはわれわれにとってどのような存在なのでしょうか。アイドルという言葉の意味は「偶像」ですから、実質的な存在ではないものであるとしても、何かあこがれや崇拝の対象になっているものと考えることができます。

 人には、実体はよくわからないものに自分の気持ちを重ねることがしばしばみられます。アイドルについても、完全にはその人物のことを理解しているわけではないのですが、その姿や生き方にいろいろな気持ちを抱きます。たとえば、自分の生き方に迷っている時期に、あるアイドルの頑張る姿に励まされたり、ふだんから、自分自身はあまり気づいていなくても、あるアイドルがグループ内で苦労する姿を真似していたりします。デビュー前の彼ら彼女らの姿を熱心に応援したりあたたかく見守ったりするところにも、自分の気持ちと何か関係のあるものがはたらいているのかもしれません。

 人は自分だけでは抱えていられない不安に対して、自分以外の人にあこがれることや、自分以外の人と似ているところがあると感じることで、なんとかやりくりしているというメカニズムがあると考えられています。「同一視(または同一化)」というメカニズムです。青年期には特に、不安が生じる時期でもあり、身近な先輩や芸能人、著名人などに対して、あこがれの気持ちを持ったりその人を目標にしたりすることがみられます。しかし、こうして誰かに自分の気持ちを重ねることで、自分らしさを見つけていく面もあります。今はおとなになった方たちでも、アイドル等の存在に助けられてきた方も多いのではないでしょうか。そういう意味でも、多くの人たちが冒頭に述べたような感謝の気持ちを感じておられることでしょう。

 さて、アイドルの姿にもわれわれはいろいろな気持ちを重ねていますが、日常的にも、他者に対していろいろなイメージを持って接しています。8月4日(日)のオープンキャンパスでは、私たちが他者に対して抱くイメージや感情についてとりあげ、それがどのようなものの影響を受けているのか、体験を通して学びます。関心のある方はぜひ一緒に学びましょう。

(心理学科 教員)

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