人間環境大学

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【心理学科コラム】公共のマナーとは何だろう?

 ある日の通勤電車で,車掌さんが「公共のマナーを守り行動しましょう。」と電車の乗客に向けてアナウンスをしていました。繰り返される「公共のマナー」という言葉に,ふと,「公共のマナーとは何だろう」と疑問が湧いてきました。年齢も違う,国籍もさまざま,電車を利用している理由も違う,そんな老若男女がひしめき合う満員電車の中でのマナーとはどのようなものなのでしょうか。多くの人が同じように「公共のマナーだ」と考えているものは存在しているのでしょうか。ちょうど,高校生と一緒に考える時間に恵まれたので「ルールを守る ―マナー違反のこころ―」と題して話をしてみました。

 「公共のマナー」とは,とてもあいまいなものです。マナー違反の行動には何があるのかを高校生に尋ねると,「ごみのポイ捨て」があがりました。たしかに,ごみを道路などに投げ捨てることは多くの人がマナー違反だと考えるでしょう。では,一杯になって溢れそうなゴミ箱の横にごみを捨てることはどうでしょうか。ごみのポイ捨てにあたるマナー違反と思う人も,マナー違反とまでは言えなと思う人も,どちらもいそうです。このように「公共のマナー」には明文化されていないものが多くあり,あいまいな存在といえます。ただ,あいまいであること,明文化されていないこと自体は問題ではありません。価値観や立場の異なる多くの人々が互いに迷惑にならないように心を配ることができれば私たちは快適に生活できるからです。自分のカバンや傘は誰かの邪魔になっていないかな,他の人は何をしているのかなと自分の周囲に目を向けること,関心を持つことから「公共のマナー」は成り立つのだと思います。このことを高校生に伝えたかったのですが,上手くいったでしょうか。

 折角ですので,最後に研究の紹介をしたいと思います。「公共のマナー」と関連する研究としては「社会的迷惑行為」の一連の研究があります。社会的迷惑行為とは,簡単に言うと,多くの人が不快に感じる行為のことです。具体的には,「ゴミを分別せずに捨てる」や「駅付近で,指定された区域以外に自転車やバイクを置く」「授業中,授業と関係のないことを話し続ける」などが社会的迷惑行為とされています。社会を考慮する人はしない人よりもルールやマナーに反する行為を迷惑と認知しやすいこと,社会的迷惑行為をする傾向の高い人は低い人よりも迷惑な行為をしている人は多くいると考えやすいことなどが研究によって明らかになっています。さまざまな研究が行われていますので,興味のある方は『社会的迷惑の心理学』『ルールを守る心』などの書籍を読んでみてください。

(心理学科 吉武)

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