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【環境科学科コラム】新たな森林破壊と,変わらない日本人?

森林破壊。それは今や海外の熱帯雨林などでのことで,日本の森林ではむしろ,山村の過疎化や高齢化で維持管理が行き届かず放置されているのが問題かと思いきや,再びここ数年,何度もニュースで取り上げられるようになりました。全国各地でのメガソーラー(大規模な太陽光発電所)の建設ラッシュです。

発電を従来の火力や原子力から太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)によるものに転換することは世界的な流れとなっています。ドイツなどのヨーロッパの再エネ先進国では,安定した偏西風による風力発電により重点が置かれますが,風況の良い適地が限られる日本では,程よい日照条件や基盤産業の存在もあり,太陽光発電が国による認定量の約9割を占めるまでになっています。日本では,再エネ発電所が発電した電力を,高い固定価格で電力会社が20年間買い取ることを国が約束したこともあって,特に太陽光発電所の建設に多くの企業や投資家が参入し,そのことが再エネ普及を大きく後押ししました。しかし一方で日本は平地が乏しく,農地の転用も農業保護を理由に難しいことから,その建設の多くが山林の伐採により行われることになりました。これまで利用価値が低いとみなされていた土地に脚光があたり,環境にやさしく地域振興にも役立つと期待されましたが,現在は多くの負の側面もまたあらわになっています。

写真は極端な採算主義で,樹林を伐採した後に何ら斜面対策を行わずに設置された例です。このような場所では,雨水の浸透能や根により土壌を縛り付ける力が低下し,近隣への水質汚濁,土砂の流出や斜面崩壊などの危険性が生じます。それに斜面への設置は広範囲に多くの人から眺められることから,景観の価値を低下させ,さらには自然の恩恵が損なわれたことを地域住民により印象づけることになります。

もちろん太陽光発電には,グローバルなCO2排出削減に貢献するなど様々なメリットがあります。しかし他の発電手段と比べエネルギー密度が低く,まとまった電力を得るのに広い土地が必要だということが,もともと土地利用の余地が少ない日本ではことさら問題を引き起こします。地域によっては条例の制定により環境上問題のある太陽光発電所の建設にブレーキをかけようとしていますが,同時に国策として再エネ普及へアクセルも踏まれた状態では,自治体も対応に苦慮しようものです。

だがしかし,そもそもの問題の根は,また別のところにあるように思えます。思い起こすのが戦後の拡大造林政策により広大な自然林がスギやヒノキの人工林に置き換えられたことです(花粉症蔓延の原因でもあります)。同じ森林とはいえ,かつての山々の景観が一変したことにどれだけの人が疑問を呈したでしょうか。景観といえば,モノがあふれ雑然とした街路,画一的な郊外の沿道の風景も同様,国民全体から異が唱えられたことはあまり聞きません。何気ない日常にある自然や風景こそが最も大切であることに,失ってはじめて気づく,いや失ってすら気づかない(自戒を込めて)。形は変わっても日本人は何度も同じことを繰り返しているのだ,という事実にまたもや突き当り,そのことが私をがっかりとさせるのです。

(環境科学科:守村敦郎)

 

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