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【心理学科コラム】「英語はなぜ難しいのか」

「英語はなぜ難しいのか」

 皆さんは英語は得意でしょうか?それとも苦手でしょうか?私は大学で英語の授業を担当していますが、「英語は苦手、でもできるようになりたい。」という人も多いように思います。ところで、英語学習に関する疑問には、次のようなものがあるようです。

  (1) 何年も英語を勉強してきたのに習得することができないのはなぜ?

  (2) 日本人は英語が苦手なのでは?

  (3) 幼少期から英語を学び始めればできるようになるのでは?

  (4) 文法を教えるから英語を使ったコミュニケーションができなくなるのでは?

  (5) 受験英語が悪いのでは?

 他にもいろいろありそうですが、まずは、(1)を考えてみましょう。「大学まで10年間ほど英語を勉強しているのになぜできないの?」と思っている人もいるのではないでしょうか。

 では、逆に質問ですが、私たちはどれくらいの量を勉強してきたのでしょうか?仮に、母語(日本に住む多くの人にとっては日本語)の場合、1日10時間の日本語漬けで3歳までに習得できると仮定しましょう。計算上は、10時間×365日×3年=10,950時間勉強したことになります。これを、英語学習に当てはめて、中学、高校、大学にかけて10年間英語を学ぶと仮定すると、1年365日、毎日休まずに3時間勉強することになります。これだけの時間を英語の勉強につぎ込むのはなかなか難しいのではないでしょうか。

 次に(2)を考えましょう。以下は、アメリカ人が週30時間 (!) の集中コースで上級レベルに達するまでに要する週数です。

  • 44週 アラビア語、中国語、韓国語、日本語、ロシア語
  • 32週 インドネシア語、マレーシア語
  • 24週 デンマーク語、オランダ語、ポルトガル語
  • 20週 フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語

これを見ると、アメリカ人にとって、英語と似ている言語は比較的短期間で習得できるのに対して、異なる程度が大きい言語になるほど習得に時間がかかるようです。韓国語と類似点が多い日本語は44週です。

英語話者にとって日本語が難しいのであれば、私たちにとっても英語は難しいのです。

 ご存知のように、英語と日本語では発音ばかりでなく、文の構造も相当違います。例を少しあげてみましょう。

①前置詞:英語では名詞の前に来ます(to + school)が、日本語ではこれに相当するものは名詞の後に来ます(学校+へ)。

英 語:go to school

日本語:学校へ行く

②比 較:英語と日本語ではthanと「より」を境にしてtall(er) と「背が高い」、Maryと「メアリー」の配置が、鏡像のように逆になっています。

      英 語:John is taller than Mary.

      日本語:ジョンはメアリーより背が高い。

③関係詞:英語では修飾部分(who read fifty books in a year)が名詞(the student)の後に来ますが、日本語ではその配置が逆になっています。

英 語:the student who read fifty books in a year

   日本語:1年間に50冊の本を読んだ学生

 英語は日本語と大きく異なっているため、習得するのがそもそも難しいと言えそうです。今回は(1)と(2)を考えましたが、その他の事柄も考えていくと、効果的な英語学習につながります。そして、言語習得や動機づけなどの分野で心理学が貢献しています。

(心理学科 岡)

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