人間環境大学

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【心理学科コラム】更新しました。

 「空気を読む」。人々のコミュニケーションの中でもよく使われる言葉ですね。その場の人間関係や話題の流れ、雰囲気などを感じて適切な行動や発言を行う。それは確かに大事なことであると考えられますが、時にはその場にそぐわないからと自分自身の意見を抑え込んでしまうこともあるかもしれませんし、人とのコミュニケーションにそうした生きづらさを感じている人もいる少なくないかもしれません。

 ただ、この「空気を読む」という文化が、日本という国で特に強調されているものであるということを知っている方もまた多いと思います。一方で、アメリカやヨーロッパなどでは自分自身の意見をはっきりと主張することが重視されます。もちろんそうした国々でも地域や社会や状況などによって異なる側面はあるのですが、全体的には、自分の意見を言わない場合、本当は意見があるけれど空気を読んで言わないのではなく、意見がないとみなされがちです。このように、たとえば自分の意見を言うか言わないかという行動も、それぞれの人が生活している国や地域や社会の文化によって、望ましいものとしてとらえられる場合もあれば望ましくないものとして捉えられる場合もあります。そして、それぞれの文化の中で生きる私たちは、意識的にも無意識的にもそうした文化を取り入れて生活しています。

 それでは、子どもたちはそれぞれの成長、発達の中でどのように自分たちが生活している文化を取り入れていくのでしょうか。実は、これは発達を扱う心理学の中でも難解なテーマの一つで、現代でも確かなことが分かっているわけではなく、そのメカニズムの解明のために日々研究が進められています。ただ、人間が発達するプロセスにおいて、文化というものは非常に複雑に絡み合っているということは言えると思います。たとえば、日本という社会の文化の中で生きていくために、単純に子どもに「空気を読みなさい」と言い聞かせても、空気を読む能力(というものがあると仮定して)が必ずしも育つとは限りません。もしかしたら言いすぎることが逆効果になる可能性もあります。子どもにもそれぞれの性格や個性や特徴があり、養育者にもそれぞれの性格や個性や特徴があります。さらに、どのような家庭や人間関係や仕事や地域の環境で生活しているかなど、非常に多くのことが関わっていると考えられます。

 10月19日のオープンキャンパスにおける体験セミナーでは、こうした発達と文化の複雑な関係について、その一端をご紹介したいと思いますので、ぜひご参加ください。

(心理学科 教員)

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