人間環境大学

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【環境科学科コラム】動物の「いる・いない」を決めるものって何だろう?

みなさん、虫捕りや魚とり、野鳥観察などをしたことはありますか。小さい頃にお父さんやお母さんと一緒にやったことがある人も多いかと思います。そして、何回もやって慣れてくると、「あそこに行けばバッタが捕れる!」、「こんな川じゃぜったいナマズは捕れないよ」と対象の動物が『よくいる場所』と『いなそうな場所』がわかってきますよね。さて、ここでいうある動物にとっての『よくいる場所』と『いなそうな場所』って何が違うのでしょうか。

ある動物が『よくいる場所』というのは、その動物にとって居心地がよい場所です。もっと正確に言えば、その動物が死んだり出て行ったりしていなくなる数よりも、生まれたり入ってきて増える数が多い場所と言えるでしょう。もちろん死ぬ数や生まれる数というのは、餌となる生物の種類や量、隠れ家となる草や岩の量、気温や水質、天敵の種類や量によって変わりますので、私たちは環境をみるだけで動物の『よくいる場所』がわかるのです。同じように、私たちは『いなそうな場所』は『よくいる場所』でない場所として理解できます。

ところが、世の中には一見すると『よくいる場所』に見えるのに、その動物が『いない』場所があります。明らかに同じような草地なのに、あのバッタがいない。そんなこともあるのです。私の得意とする哺乳類に話を移すと、例えば、森林や草地に『よくいる』ニホンジカ(以後、シカ)は、場所によっては森林で草地がたくさんあるのにいない場所が多くあります。食べ物や隠れ家はたくさんあるのにどうしてこんなことが起こるのでしょうか。シカが生きていく環境としては十分なのだとすれば、考えられるのは、狩猟などで一度いなくなってしまってから、まだ移動して入ってきてないという状態です。

実際に、1980年代から現代までのシカの分布図をみてみると(環境省webページ:https://www.env.go.jp/press/100922.html)、全国的にシカの分布は拡大しています。愛知県でも、かつてシカはいないと思われていた三河南部の地域(蒲郡市や幸田町など)からシカの目撃情報が入ってきています(https://shikadoko.jp/)。岡崎キャンパスがあるような三河地域の北部の森と南部の森の間には東名高速道路や、国道一号線、名古屋鉄道があるのに、どうやって移動したのかについては、現在、卒論生と一緒に調査を始めたところですが、動物の移動能力が動物の現在の「いる・いない」に重要な役割を果たしているということがよくわかります。

このように、動物の「いる・いない」は環境だけでなく、過去の状態、動物の移動も合わせて考えることが重要です。こうして過去と現在の関係がより正確に見えてくると、現在の状態から未来のことを予想できるようになります。つまり、現在の「いる・いない」から、動物にとって居心地のよい環境を見つけることができると、その動物の生息適地が見えてきます。これに加えて、もし将来の環境が予想できれば、動物の移動能力を考え合わせて、その動物の生息分布が将来どのように変わるのかを予想することができるようになるのです。こういった予想は人と動物とが大きな失敗なく付き合っていく上で、大切な情報となるでしょう。

さて、次回、9月30日(日)のオープンキャンパスでは、環境科学科の模擬授業を私(立脇)が担当します。この模擬授業では実際に、ある動物の「いる・いない」を調べ、その背後にある生息適地を探ることで、ある動物の将来の分布をみんなで予想してみたいと思います。動物に興味のあるみなさんのご参加をお待ちしています!

(環境科学科 立脇)

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